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月一連載 小説ブログ「私をやる気にさせるグッドプレイス」

2012年08月24日

身寄りのない私が熊本の片田舎から市内へ出てきて三日。住むところも決まらずにどこそこの宿泊施設で寝泊まりをしている。

「いい加減に住むとこくらい決めなきゃ」
父親の反対を押し切って市内に出て、遊んでばっかりじゃ立つ瀬がない。
市民病院に就職が決まったのに、住むとこがなけりゃ友達も彼氏も出来やしないし。
江津湖の湖畔を散歩して、市民病院から動植物園へ。何処か住むところはないかなと視線をずらしながら歩く。

だいたい五分くらい歩くと私の視界にとても興味を惹かれる建物が飛び込んできた。

「なにこれ。綺麗…」
陽に照らされて白く光る建物。すぐに管理会社に電話して中を見せてもらうことにする。
こざっぱりとした内装が妙に心地良い。少し狭く感じる廊下を歩き部屋に入ると、とても高い天井が眼に映った。ああ、ロフト付きなんだ。
天井が高いとそれだけで部屋が広く感じる私は単純なんだろうね。
案内に来てくれた人が口々に設備の説明をしてくれている。四角いデザインが良い窓。床暖房。IHにシャンプードレッサー。
女としてあって欲しい設備がこんなに付いてるなんて私にとっては至れり尽くせりね。
職場も近いし、早く落ち着きたいしこれくらいでいーかなー。
なんて思った時に案内の社員さんがぼそっと呟いた。
「ここに住むのはオシャレに気を遣ってる感じで印象良いですよねー」
…よし。ここにしよう。オシャレな友達をたくさん作る一歩目。
私も都会人に見えるようにまずは印象からね。
すれ違う誰もが振り返るような看護師になるって野望に向けてここから走りだそう。
よろしく。ラテラーレ!
ラテラーレ 外観.jpg